気の利いた表現を書き、読み手に余韻を残す書き方を三つあげました。
呼びかけとは、例えばこのような結びです。
「ラルクへ。 あなたは私の大切な家族だよ。おはようも、おやすみも、大好きも、これから毎日いうからね。...、まだまだたくさん遊ぼうね。」
門川町読書感想文コンクール 令和3年度、書名「ずーっと、ずっと、だいすきだよ」
この本は、主人公が小さいころから一緒に暮らした飼い犬が、やがて年老いて死んでしまうまでのお話。
家族はみな悲しんだけど、主人公だけはいつも飼い犬に「だいすきだよ」と口に出して伝えていました。だから、悲しいけど少しは楽だ、というのです。このように、好きだ・大事に思っているなら口に出して伝えよう、というのが本のテーマです。
そこで、読書感想文を書いた生徒は、自分の飼い犬ラルクに好きと伝えてみよう、と自分の変容を書きます。
そして最後にラルクへの呼びかけを書き、本書のテーマを印象付けました。
倒置とは、例えばこのような結びです。
人よりも下手?これからもっと努力するのだ。上達が遅い?人よりもっと強く根を張るのだ。 いつか、私の人生で最高のスタンディング・オベーションを受けるために。
恵那市読書感想文コンクール 平成27年度、書名「ワンダー」
この本では、生まれつきの障害を持つ主人公オーガストが、「だれもが一生に一度はスタンディング・オベーションを受けるべきだ」という格言を述べています。読書感想文を書いた生徒は、この部分に感動したので、結びに使ったのです。
そこで単に
「私の人生で最高のスタンディング・オベーションを受けたいと思いました」
「そのため、人より上達がゆっくりでも、もっと努力していきたいです。」
と書いてもいいところを、順序を変えて倒置にしました。
こうして、自分が最も印象に残った最後の文章を、読者にも強く伝えるようにしました。
創作とは、例えばこのような結びです。
「♪一人はみんなのために、みんなは一人のために・・・。」
歌いながら空を見上げると、王子様がにっこり笑ったように見えた。
八王子市読書感想文コンクール 平成28年度、書名「星の王子さま」
この結びは、読書感想文を書いた生徒の思いを、空想の一シーンとして創作したものです。
本の中心テーマの一つが、「人のために行動する人は立派だ」というもの。王子様が友人になりたかった大人のタイプが「人のために行動する人」で、そんな人に自分もなりたいと思いを書いています。
そこで「人のために行動する」ことを一行目の短い歌で表現し、「星」の王子様に聞こえたかなと「空を見上げる」と「笑ったように見えた」、というシーンで表す。
自分の決意が本の主人公と同じ、と読み取れる創作部分になってます。
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