入選作品の引用と感想例 | 国語教科書の素材辞典

入選作品の引用と感想例

本の主張、登場人物の行動等を引用しつつ、それに対して自分の感想を付ける方法を二つあげました。

登場人物の行動とそれに対する自分の行動の違いを書き、結びで行動の変化を書くとは、例えばこのような引用と感想です。

全身大火傷の大怪我を負うも自分の夢をあきらめずにピアノのレッスンに励む場面です。 (中略) もしも私が遥だったらピアニストという大きな夢をあきらめて、ずっと失望していたと思います。

日南市読書感想文コンクール 令和4年度、書名「さよならドビュッシー」

登場人物・遥の、読者をびっくりさせる頑張りを引用し、もし自分だったらできないと感想を書いています。

この入選作品では、結びで自分自身の考えや行動が変わったこととして、このように書かれています。

この本を読んで自分の考えが変わりました。 (中略) 私にはまだ遥のような夢がありません。でも、夢が見つかったときのために今から努力することを頑張ります。

日南市読書感想文コンクール 令和4年度、書名「さよならドビュッシー」

よって、結びに「今から努力することを頑張る」と書くために、

(途中の感想) でも自分は遥のようになれない、夢をあきらめたと思う

→(対応する引用) 遥は自分の夢をあきらめなかった

と途中に伏線を入れて、結びで回収します。

筆者の主張と根拠、それに対する自分の考えの浅さを書き、結びで考えの変化を書くとは、例えばこのような引用と感想です。

学食で食べ物を万引きして食べるしかない生徒がいます。その結果その生徒は犯罪者としていじめられてしまう... (中略) ごはんを買うことができなくて、万引きしてしまうほど困っている人が、先進国といわれるイギリスにもたくさんいるのだということを知り、驚きました。

大阪府読書感想文コンクール 令和3年度、書名「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」

これは著者の息子が通う「元底辺中学校」で経験した出来事の一つです。

この貧困や格差社会を象徴する出来事について、先進国といわれるイギリスの現実を素直に知らなかった、驚いたと感想を書いています。

この入選作品では、結びで自分自身の考えや行動が変わったこととして、このように書かれています。

貧困や格差社会問題、いじめや人種差別など多くの問題を私たちに投げかけているのだ... (中略) 実際に自分がその現実を見たときに適切な行動をとれるかわかりません。普段から色々な世界のことを知り、考える習慣をつけていかないといけない...

大阪府読書感想文コンクール 令和3年度、書名「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」

よって、結びに「普段から色々な世界のことを知り、考える習慣をつけていく」と書くために、

(途中の感想) 自分はイギリスの現実を知らなかった、先進国だから貧しい人はほとんどいないと思い込んでいた

→(対応する引用) 貧困と格差社会から生じる元底辺中学校の出来事の一つ、学食の万引きの例

と途中に伏線を入れて、結びで回収します。

読書感想文の書き方に戻る