※この記事の親記事は読書感想文の書き方です。
ChatGPTやBing AI chat、Bardは、ゼロから読書感想文を書けるほどの力がありません。なぜなら
- 文章生成AIは、本のあらすじを理解できていない
Wikipediaであらすじが正確に分かる有名作品でも、AIは作品のあらすじを生成できない - 文章生成AIは、読書感想文の文体を学習できていない
自分を主語にして、自分の感想や意見を生成するのはまだ苦手で、どうしても第三者目線の書評文になりやすい
この根拠を、Wikipediaにも詳しく載っている国語教科書の定番・「ごんぎつね」を使って実際にAIに生成させたあらすじ、読書感想文で説明した上で、ChatGPTを読書感想文にどう使うと良いか考えます。
ChatGPTは読書感想文を書ける?
書けませんでした。ですが、人間がほとんど書いた読書感想文の素案を書き直させることで、読書感想文らしい文章は書けます。
その後に人間が書き直す・書き足すことで、途中の手間が省けるかもしれません。
ChatGPTはあらすじを書ける?
あらすじは書けませんでした。
下に、繰り返しChatGPTにあらすじを書き直させた結果を貼りました。
まず、主要人物の「兵十」がどこにも出てこないという不正確な結果です。また、ストーリーも違います。
(←クリックで拡大)なぜか宮沢賢治が書いた童話になり、ごんは森で母親と暮らしていて、人間の少年に捕まえられて一緒にくらしたことになっている。最後には、人間に奪われそうになった森をよみがえらせ、人間と動物たちが調和したという。真っ赤なウソのあらすじ。 | |
(←クリックで拡大)また宮沢賢治が書いた童話になり、ごんは森で暮らしていてが、人間の世界に興味を村で人々と交流するとなっている。ところが、自分の姿を隠し続けるのがつらくなり、村の子供たちに正体を明かしてしまう。村人はみな驚くが、ごんを受け入れるという。真っ赤なウソのあらすじ。 | |
(←クリックで拡大)これまた宮沢賢治が書いた童話と言い張り、ごんが人間に化けて村の子供たちを交流するという化けきつねになっている。ある日、ごんは病気になり、なかなか治らないので子供たちは心配するのだが、最後はきつねに戻って森へ帰るという。真っ赤なウソのあらすじ。 |
ChatGPTはゼロから読書感想文を書ける?
読書感想文は書けませんでした。
あらすじが間違っているので、それを基づく文章の内容も不正確です。
また、当たりさわりのない客観的な解説・書評の文章となっており、読者が自分の感情や行動を主観的に書く感想文になっていません。
(←クリックで拡大)あらすじは3番目のものに似ていて、自然とのつながりや友情の尊さをテーマにして書かれている。しかし、単なるそれっぽい書評にすぎず、読書感想文を書けていない。 |
ChatGPTは人が書いた感想文を書き直せる?
書き直せました。
人が書いた不完全な感想文を、もっともらしい読書感想文に直してくれました。文末表現もそろえられており、自然な文章になっています。
しかし、教えた文章以上の新たな文章はほぼありません。文字数の多い読書感想文にするには、人間が必要な文章をほぼ書いて伝える必要があります。
関連記事)読書感想文の書き方
(←クリックで拡大)文章の下書きを作って、下書きを元に感想文らしく書き直させると、表現を追加したり言い換えたりして、もっともらしい読書感想文に直してくれた。これなら、人間が手直しすれば完成しそう。 |
Bing AI chatは読書感想文を書ける?
書けませんでした。
ネット上の引用サイトを基にしたあらすじ生成は完璧ですが、読書感想文の生成や人が書いた感想文の書き直しをする力はありません。
Bing AI chatはあらすじを書ける?
あらすじは書けました。
短く要約されたあらすじですが、回答にはWikipediaなどが引用されておりストーリーは正しいです。
(←クリックで拡大)引用サイトをもとに簡潔なあらすじを答えた。人間が手直しする必要はない。 |
Bing AI chatはゼロから読書感想文を書ける?
読書感想文は書けませんでした。
あらすじが間違っているので、それを基づく文章の内容も不正確です。
また、当たりさわりのない客観的な解説・書評の文章となっており、読者が自分の感情や行動を主観的に書く感想文になっていません。
(←クリックで拡大)読書感想文らしい文章は少なく、全般に第三者目線で「読む人それぞれが異なる感想を持つことができる素晴らしい作品」「この物語から多くのことを学びました」等と書いても、自分の感想や自分が学んだことの具体的な内容が書かれない。読書感想文ではない。 |
Bing AI chatは人が書いた感想文を書き直せる?
書き直せませんでした。
ひらがな・カタカナ・漢字の置き換えや、適切な句読点の書き直しはしていても、元の感想文から新たな文章を生成できていません。
自分ですべて書いたほうが早いです。
関連記事)読書感想文の書き方
(←クリックで拡大)文章の下書きを作って、下書きを元に感想文らしく書き直させると、元の文章をそのまま使っただけの丁寧な文章にしか直せなかった。表現がそろっただけで元の文章と変わらない。 |
Bardは読書感想文を書ける?
書けませんでした。ですが、人間がほとんど書いた読書感想文の素案を書き直させることで、読書感想文らしい文章は書けます。
その後に人間が書き直す・書き足すことで、途中の手間が省けるかもしれません。
Bardはあらすじを書ける?
あらすじは書けました。
下に、繰り返しBardにあらすじを書き直させた結果を貼りました。
初めのうちは不正確でしたので、何度も作らせているうち偶然書けたのかもしれません。
(←クリックで拡大)兵十が少年になっている。また、ごんが兵十にいたずらをして怒らせたのに、なぜか次の段落ではごんは兵十に復讐することになっている。さらに、井戸で水をくむ兵十を狙って石を落とし、兵十のおばあさんを死なせてしまうとか、めちゃくちゃ。真っ赤なウソのあらすじ。 | |
(←クリックで拡大)今度も兵十が少年になっている。また、ごんが兵十にいたずらをして怒らせ逃げるが、その途中にまたも兵十の母親を死なせてしまうとか。さらには兵十が病気で死んだことをごんが知るという、いろいろと混ざっている。真っ赤なウソのあらすじ。 | |
(←クリックで拡大)回答案を何度も作らせるうち、正しいあらすじが生成できた。最後の段落の贖罪(しょくざい)の旅というのはニュアンスが違うが、人間の手直しはほとんどいらないレベル。 |
Bardはゼロから読書感想文を書ける?
読書感想文は書けませんでした。
あらすじが間違っているので、それを基づく文章の内容も不正確です。
また、当たりさわりのない客観的な解説・書評の文章となっており、読者が自分の感情や行動を主観的に書く感想文になっていません。
(←クリックで拡大)あらすじが間違っている上に、自分を主語にした具体的な感想がないので、書評にすぎず読書感想文ではない。 |
Bardは人が書いた感想文を書き直せる?
書き直せました。
下に、繰り返しBardに人の感想文の書き直しをさせた結果を貼りました。
何回も生成させているうちに、人が書いた不完全な感想文を、もっともらしい読書感想文に直してくれました。
与えた感想文を基に、教えた文章以上の新しい表現を多く生成できており、文字数も増えています。
よって、元の読書感想文をうまく書くと、書き直し文章もよりもっともらしくなるはずです。
関連記事)読書感想文の書き方
(←クリックで拡大)「隣に住む」「兵十はいつもゴンを拒絶する」「ゴンは兵十の母親に会えて幸せでした」等、元の感想文から離れた不正確なあらすじが生成された。元の文章にあった感想も無視され書かれない。これなら、自分で書いたほうが早い。 | |
(←クリックで拡大)元の感想文のストーリーに沿って、自然な表現を生成したり、言い換えたり間引いたりして、もっともらしい読書感想文に直してくれた。最後の「ごんは、兵十に償おうとしていた善良な狐だったと思います。」は新たに加わり、自分の感想としてふさわしい。これなら、人間が手直しすれば完成しそう。 | |
(←クリックで拡大)元の感想文のストーリーに沿って、自然な表現を生成したり、言い換えたり間引いたりして、もっともらしい読書感想文に直してくれた。「兵十はごんに気づかず、結局ごんは兵十に銃で撃たれてしまいます。」というのは元の感想文にはなく、しかも前の文章を受けた自然な表現となっている。これなら、人間が手直しすれば完成しそう。 | |
(←クリックで拡大)元の感想文のストーリーに沿って、自然な表現を生成したり、言い換えたり間引いたりして、もっともらしい読書感想文に直してくれた。ごんが兵十に直に謝ろうとしたというのはウソだが、 「私は、兵十はごんを許してあげるべきだと思います。ごんは間違いを犯しただけです。兵十も間違いを犯したことがあります。」 「兵十の母親に謝っているのではないでしょうか。兵十の母親はごんを許してくれているのではないでしょうか。」 のあたりは、読んだ後の自分の思いを表現しており、読書感想文らしくなっている。 これなら、人間が手直しすれば完成しそう。 |
AIを読書感想文にどう使う?
人が読書感想文を書いて、AIは文章をチェックさせる目的で使うのが、良い付き合い方です。
文章生成AIは、Wikipediaに載っている有名なあらすじでも正しく生成できません。
それは生成の仕組みが影響しているのです。以下の外部記事の説明がわかりやすいです。
ChatGPTはネットの検索をしていない、次に続く言葉を選んでいるだけ | 牧野真
つまり「ジャニーズ」で例えると、後ろに「事務所」「アイドル」「Jr.」などを続けると自然な文章になると学んだにすぎず、ジャニーズ事務所に関する内容は理解していません。
では、創業者のジャニー喜多川と、元会長のメリー喜多川の関係は?(正解は、4歳差の弟と姉) ChatGPTの挙動をあなたが確かめてください。
次に続く言葉を可能性が高い中から選ぶだけという文章生成AIの特徴は、与えられた文章を自然な文章で要約・書き直しするのが得意ということにつながります。
得意ではないことをいくらやらせても、やりなおしに時間ばかりかかって望んだレベルにはなりません。