同年代がみな読む教科書の定番作品5選・中学校編 | 国語教科書の素材辞典

同年代がみな読む教科書の定番作品5選・中学校編

同年代の人がみな、一度は国語教科書で見ている作品がいくつかあります。というのも、複数の教科書会社がそろって同じ素材を使っている場合があるためです。

そのような定番の素材を集めました。この記事では、中学校1年から3年の教科書についてまとめます。

初恋(島崎藤村)

一つめは、島崎藤村の「初恋」です。

幼い子どもから少女へと成長した「君」に「われ (我=私)」が恋心を抱くさまを、林檎畑を舞台に謳った詩です。(→「初恋」の情報を見る

髪を結いあげた大人のいで立ちで林檎畑に現れた「君」。「われ」がその姿に見とれます。まだ赤くなりはじめの林檎をもいで「われ」にくれた「君」に恋心を抱きます。

こちらは、中学3年生のどの教科書にも採用されています。

走れメロス(太宰治)

二つめは、太宰治の「走れメロス」です。

町を治める疑り深い王様に対し、メロスが人を真に信じることを行動で証明するお話です。(→「走れメロス」の情報を見る

メロスが王様に対し、自分が死刑になる日を猶予してもらう代わりに、その間は親友に身代わりになってもらいます。そしてメロスは妹の結婚に駆け付け、すぐ人質になっている親友のもとへ走ります。

道中、いろいろな困難や自らの弱い気持ちと向き合うメロス。自分か、親友か、どちらを大事にするのか...

こちらは、中学2年生のどの教科書にも採用されています。

坊っちゃん(夏目漱石)

三つめは、夏目漱石の「坊っちゃん」です。

無鉄砲で乱暴な気性の俺(坊っちゃん)が、学校を卒業後に旧制中学校(今なら高等学校に相当)の数学教師となり、赴任した学校で上司や同僚、周囲を巻き込んで起こした出来事を描く小説です。(→「坊っちゃん」の情報を見る

やや長編の小説のため、教科書では冒頭の一部のみ、俺が小さいころから成長して学校を卒業するころまでの父母や兄、下女の清と関わる部分が載っています。

俺は親譲りの無鉄砲な気性で、内外でいろいろな問題を起こし家族には疎まれて育ちますが、下女の清というおばあさんにはかわいがられます。

こちらは、中学1年生のどの教科書にも採用されています。一部の教科書では中学2年生の教科書にのっています。

字のない葉書(向田邦子)

四つめは、向田邦子の「字のない葉書」です。

時は太平洋戦争中、筆者の妹が東京から地方へ疎開していったときの出来事を、父の思い出とともにつづった随筆です。(→「字のない葉書」の情報を見る

当時の妹は小学一年生。親元を離れる妹を心配した父は、妹に自宅の宛名だけを先に記した葉書をたくさん持たせます。毎日、元気な日には丸を書いて投函するように、と。

妹はまだ文字が書けなかったのでした。字のない葉書、とはここからきています。

こちらは中学1年生の教科書か中学2年生の教科書に掲載され、どの教科書会社でも扱っています。

少年の日の思い出(ヘルマン・ヘッセ)

最後の五つめは、ヘルマン・ヘッセの「少年の日の思い出」です。

「私」が客に、幼年時代に熱中した蝶の収集を再開したことを告げ、収集した蝶を見せるところから物語は始まります。(→「少年の日の思い出」の情報を見る

客は収集品を少し見るのですが、やや不愉快な気分になったらしく、見るのを止めてしまいます。そこから、その客の少年時代に起きた苦い思い出が語られます。

こちらは、中学1年生のどの教科書にも採用されています。